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Vol.12 No.6

日本の内燃機関産学共同研究の分水嶺
A Watershed in Japanese Industry-Academia Joint Research on Internal Combustion Engines
飯田 訓正
Norimasa IIDA
本誌編集委員長/慶応義塾大学
JSAE ER Editorial Committee / Keio University

特集に寄せて

 本誌では3号に亘って「AICE研究紹介」を企画・発行する。自動車用内燃機関技術研究組合 (The Research association of Automotive Internal Combustion Engines :AICE)略称AICEは、日本の自動車メーカー9社と研究機関2団体によって 2014年(平成26年)4月1日に設立された産学共同研究である。

 産学協同においてはドイツFVV(Forschungsvereinigung Verbrennungskraftmaschinen e. V.、ドイツ産業研究会連合が有する研究コンソーシアム)が1956年にスタートし、陸海空における内燃機関の共同研究が進んでいた。日本においては産学共同は後れを取っていたという指摘がある。基礎研究に重きを置く大学と、技術を企業競争の一環とするメーカーの立ち位置の違いが一つの要因だったとも言える。しかし昨今の内燃機関の研究への多岐にわたる課題、スピードアップへの要求は危機感となっていた。そこでスタートしたのがAICEであった。

 AICE創設にあたり日本独自の体制および運営が模索され、次の二つの理念が掲げられた。
1. 産学官の英知を結集し、将来に亘り有望な動力源の一つである内燃機関の基盤技術を強化し、世界をリードする日本の産業力の永続的な向上に貢献すること。
2. 産学官の相互啓発による研究推進により、日本の内燃機関に関する専門技術力の向上を図り、技術者 および将来に亘り産学官連携を推進するリーダーを育成すること。

 そして基盤研究活動は、産業界のニーズから研究テーマを創出し、その研究テーマを大学および研究機関に研究委託する研究スタイルで、設立から8年間で、多くの成果を上げてきた。特筆すべきはこのデータベースが検索しやすく、今後も多くの研究者・技術者に利用しやすくシステム化されたことにある。

 本特集は「日本の産学連携研究」を推進しているAICEにフォーカスをあてて、その成果の一端を紹介するものである。これをきっかけに小さな流れが大河に注ぎ続けることを願ってやまない。

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