自動運転工学・法学融合課題特設委員会

1.活動目的

自動運転技術を社会に実装し普及するためには、万一事故を起こした場合の責任所在をあらかじめ明確化する必要がある。そのためには、システムの性能、ユーザの知識や能力、法整備など、工学(システム工学や人間工学を含む)と法学の両面から議論をすることが不可欠である。
2020年4月から2023年3月まで実施した自動運転HMI委員会においては、自家用のレベル2運転自動化システム搭載車を対象に、2018年に横浜で発生した死亡事故や、世界各国で発生した同類の事故を参考に議論を進めた。特に、システムの特徴と人間の能力限界から予見可能なリスク、およびユーザ説明・教育に焦点を当てて議論を進め、その成果は2022年7月の自動車技術会フォーラムで発表するとともに、2022年12月には公開委員会として模擬裁判を実施した。模擬裁判では、具体的な仮想事故を想定し、リスクの予見可能性とユーザ説明の適切さを論点として、メーカと販売会社の民事的責任の法的判断を検証した。 今後のさらなる進化が期待される自動運転技術を広く社会実装するためには、まだ多くの課題がある。自家用車のよりレベルの高い運転自動化システムに関わる、ドライバーとシステム(メーカと販売会社)間の責任問題だけでなく、システム搭載車両と他の交通参加者(他のドライバーや歩行者など)間の責任問題も今後検討してゆく必要がある。さらに、公共交通機関としての自動運転移動サービスにおいては、サービス開発・製造・提供者と乗客または他の交通参加者間の責任問題が発生しうる。
 本委員会においては、工学と法学の融合課題として、いくつかを選定し、委員会内の議論や外部有識者とのコミュニケーションを通じて、問題の理解と議論を深めるとともに、最終的にはいくつかの事故類型にもとづいて、責任問題を考える上でのフレームワークを構築し提言することを目的として活動する。

2.委員長・幹事

委員長 伊藤 誠(筑波大学)
幹事
  • 青木 宏文(名古屋大学)
  • 赤松 幹之(国立研究開発法人産業技術総合研究所)
  • 佐藤 昌之(特定非営利活動法人ITS Japan)
  • 中山 幸二(明治大学)

3.活動期間

2023年9月~2025年8月(予定)

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