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Vol.11 No.1

7 自動車の大気環境影響と対策技術
鈴木 央一
Hisakazu SUZUKI
本誌編集委員、交通安全環境研究所
JSAE ER Editorial Committee / National Traffic Safety and Environment Laboratry

 志村ら(7-1)はターボガソリン車のシャシダイナモ試験と車種やエリアごとのテレマティクスデータの分析により、国内におけるヘッドライトによる燃費影響を試算している。結論から先に示すと、ヘッドライトによる燃費悪化はおよそ1.2~2.0%で、国内におけるライトの使用率は約31.8%としている。試験サイクルにおける燃費影響は3.8~6.1%としており、ハイビームとフォグランプを点灯した状態での電力消費量から算出した燃費影響度が約1.6%であるのに対して、著しく大きい。その理由として充電制御の違いを挙げている。図7-1は、WLTCにおける12Vバッテリの電力収支を示している。左の充電制御ありでは走行時には放電傾向にあるものの減速時に1000W程度の充電がみられるのに対して、ヘッドライトをつけた状態ではオルタネータが作動し続けて、継続的に充電されているため、減速時の回生分をロスするなどして差が拡大したとしている。

【参考文献】
(7-1) 志村 渉、鈴木 央一:前照灯の点灯が燃費に与える影響 -日本の使用実態を考慮した燃費影響の試算-、自動車技術会2020年秋季大会学術講演会講演予稿集、No.20206140