TOP > バックナンバー > Vol.11 No.1 > 8 ディーゼル燃焼
菅野ら(8-1)は単気筒ディーゼルエンジンを用いて、吸気温度、吸気圧力、吸気酸素濃度、燃料噴射圧力、燃料のセタン価を変化させ、これらが着火遅れに与える影響について実験的に調べた結果について報告した。実験条件を表8-1に示す。
着火遅れは筒内圧力の計測値から解析している。得られた結果から、吸気酸素濃度O2in、燃料噴射時の平均筒内ガス温度TSOI、筒内圧力PSOI、セタン価CNから着火遅れを推算する実験式を次式のように提案している。図8-1には、着火遅れに対する提案式により得られた計算値と計測値の相関を示す。
Shinabuthら(8-2)は急速圧縮膨張装置を用いて、雰囲気温度と密度を高過給圧運転相当を含む広範な範囲で変化させ、噴孔近傍領域の噴霧内への空気導入と燃焼特性、排気特性の関係を実験的に調査した結果について報告した。噴孔から20mmまでの領域について窒素雰囲気中の非燃焼燃料蒸発噴霧の高速度影写真と高速度散乱光写真の同時撮影を行い、得られた画像から噴口近傍領域における噴霧への空気導入を解析し、その値と燃焼期間、すす排出量、NOx排出量の計測値との関係を調べている。ノズル噴孔径と噴孔長を変化させ、これらの影響についても調べている。得られた結果から、噴孔近傍における噴霧燃料蒸気/空気混合気の当量比は、着火遅れ(図8-2)、火炎温度(図8-3)、すす(図8-4)とNOx排出量(図8-5)に大きな影響を与えることを明らかにしている。