TOP > バックナンバー > Vol.15 No.4 > CI燃焼3
町井ら(1)は、高価格と予測されるCN燃料の使用には、内燃機関のさらなる熱効率向上が必須と考え、熱発生率制御による新たなHigh-heels型熱発生率の研究を推進している。既報の増圧インジェクタによるHigh-heels型熱発生率では、燃焼室中心に偏った火炎配置による空気利用率の悪化により、狙いの熱発生率を得られなかった。そのため、噴霧火炎を広範囲に分散可能なマルチインジェクタ燃焼系(図1)を用いた計算検討を行った。理想とする熱発生率を得るためのマルチインジェクタを活かした噴射のストラテジー(図2)を考案し、それを活かせる燃焼室形状を3D-CFDで決定した。本コンセプトは、等圧燃焼後の熱発生率を等圧燃焼時より急峻とすることであるが、0D計算では、投入熱量一定条件による噴射期間の長期化が、等圧燃焼後の熱発生率を急峻にできない“High-heels不成立領域”が存在する。計算の結果、この不成立領域で最高効率点が存在する結果が知見として得られた。今後は、損失モデルの実機キャリブレーションによる必要に応じた精度向上も必要である。3D-CFDの結果からは、マルチインジェクタでの火炎干渉の抑制や混合気形成の促進を活かし、狙いとする熱発生率に制御するために適した形状が見い出すことができた(図3)。
磯貝ら(2)は、後燃えの要因が、噴霧火炎先端の空気混合が十分に進まない燃料過濃領域であるモデルを参考にし、燃料噴霧を故意に物体に衝突させ噴霧を分割することで、過濃領域の希薄化を狙った。衝突対象の形状を3D-CFDにより検討し(図4)、定容燃焼器による実験を行った。計算より、三角柱では衝突後の噴霧火炎が左右に分割されるのに対し、円柱では衝突後に一旦分割した噴霧火炎が、衝突後の後方で再合流する結果となった(図5)。これらから、噴霧分割により噴霧内当量比が低くなり、燃焼の活性化による熱発生の改善が見られた。定容燃焼器による実験の結果、三角錐と円錐では後燃え期間における熱発生率が低いことや噴霧分割が起こっている様子、円柱では熱発生率が全体的に低いことや分割した噴霧火炎が再合流する様子など、計算と同様の熱発生率及び噴霧火炎の挙動が観察された(図6)。
Movie.1 噴霧火炎の直接撮影結果 |
Movie.2 噴霧火炎の直接撮影結果 |
Movie.3 噴霧火炎の直接撮影結果 |
Movie.4 噴霧火炎の直接撮影結果 |
※設置位置 : z = 20 mm
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