TOP > バックナンバー > Vol.15 No.4 > 燃料噴霧I
増井ら(1)は、アンモニアを燃料とする火花点火機関の出力密度向上のため、液体状態のアンモニアを吸気ポート噴射することを検討した。アンモニアは従来の化石燃料と比較して飽和蒸気圧が低く、吸気ポート内で減圧沸騰が生じるため、噴霧形状や貫徹力に変化が生じる。本研究では定容器を用いて、アンモニアの噴射燃圧1MPa、雰囲気圧力0.03~0.45MPaの条件下で2噴口インジェクタ噴霧挙動の液相をMie散乱、気相をシュリーレン法で可視化し、噴霧挙動の特徴を明らかにした。テスト結果から、過熱度が低い(雰囲気圧力が高い)条件では、2噴口より噴射された噴霧は明確に分離されるが、過熱度が高い条件では噴霧干渉が起き一体化するとともに貫徹力が大きくなることが観察された。これは減圧沸騰により20%程度、アンモニアが気化し体積流量が増加するためと推測している。SIポート噴射エンジンへのアンモニア燃料適用もCN社会実現に向けた重要な取り組みであり、噴霧のモデル化や、吸気ポート内付着、筒内混合気分布への影響など、研究の進展を期待する。
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