TOP > バックナンバー > Vol.15 No.4 > CI燃焼5
山本、小川ら(1)は「液体合成燃料がディーゼルエンジン性能に与える影響」と題した発表でGTLとOME混合燃料を用いて可視化急速圧縮膨張装置(RCEM)によりディーゼル燃焼画像を撮影し、OME(オキシメチレンジメチルエーテル)混合燃料の燃焼促進効果、スモーク低減および後燃え期間の短縮に関する燃焼プロセスについて報告している。このなかで、GTLにOMEを混合した燃料は、混合率30%でGTLとほぼ同等かわずかに高い図示熱効率を示したが、混合率を50%まで高めると燃焼室壁面付近での燃焼が活発化し冷却損失が増大するためほとんどの酸素濃度で熱効率はGTLに比べて悪化したとしている(図1)。また、OME混合率の高い燃料を用いるとエンジンから排出されるスモーク排出量は大幅に低下し、RCEMで計測した実験結果でも、すす生成の定量指標であるKL値も低下している(図2)。
エンジン実験において、吸気の酸素濃度が低い条件ではOME混合燃料のほうがGTLよりも熱効率が高くなっていたが、この原因をRCEMによる実験で検証している。OHラジカル発光の観察(図3)により、GTL燃料は燃焼壁近傍での燃焼がOME混合燃料に比べ不活発であることより、OME混合燃料では当量比の高い燃焼室壁面近傍の噴霧干渉領域における燃焼が活発化されて後燃えが低減する燃焼改善効果が示されたとしている(図4)。
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