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Vol.15 No.9

潤滑油・潤滑剤
川野 大輔
Daisuke KAWANO
大阪産業大学
Osaka Sangyo University

講演紹介(1)

 中村ら(1)は、前報で効果が認められた混合潤滑域で効果を発現する油膜形成型潤滑油添加剤(開発FM)(図1)を、市販油を大幅に下回る40℃動粘度8 mm2/sまで低粘度化したe-Axle専用の潤滑油(EV油)に適用し、過渡試験による減速機の効率評価を実施した。その結果、添加剤を適用しないSample Dに比べ、広く用いられている添加剤(従来FM)を適用したSample FおよびGはわずかな効率改善効果しか認められないが、開発FMを適用したSample Eでは大幅な効率改善効果が見られた(図2)。加えて耐久試験も実施し、低粘度化において課題となる耐久性についても、開発FMにより大きく改善する可能性が示された。

講演紹介(2)

 足立ら(2)は、潤滑油の低粘度化がシール材や絶縁材などの有機材料に与える影響ついて、引張強度が低下する要因を調査した。その結果、基油の低粘度化により潤滑油がシリコーン材料に浸透しやすくなり、添加剤に含まれるリン系摩擦防止剤の一つ(AW-A)が材料内部に到達して材料の強度低下を引き起こしやすくなることがわかった。以上の知見から、AW-Aの添加量を低減させた添加剤(Addpack-B)を適用した潤滑油(Fluid-6)を作製し、従来の添加剤(Addpack-A)を適用したFluid-1およびFluid-1の粘度を低下させたFluid-2と引張強度を比較した結果、Fluid-6ではFluid-1,2と比べて大幅に引張強度が改善することを確認した(図3)。

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【参考文献】
(1) 中村 俊貴、古瀬 孝志、長谷川 慎治、赤堀 慎哉、伊藤 王一、桜田 宗一郎、秋口 隼之丞:油膜形成型潤滑油添加剤の適用による省電費EV油に関する基礎検討(第2報)、自動車技術会2025年秋季大会学術講演会講演予稿集、No.20256024
(2) 足立 常夫、小野 芳則、Walter BUNTING、Christopher CLEVELAND、岩澤 良太、鈴木 裕美、中村 仁、北島 裕之、青木 恒:電動駆動油の低粘度化と有機材料適合性の研究、自動車技術会2025年秋季大会学術講演会講演予稿集、No.20256025