TOP > バックナンバー > Vol.13 No.3 > 潤滑・トライボロジー(その2)
渡邉ら(1)は、様々なパターンコーティングを施したディーゼルピストンを用意し、浮動ライナ法を用いてその効果を評価した。表1に実験に供試したピストンスカート部のコーティング厚さと模様を示す。図1に各回転数におけるピストン③、④、⑤の摩擦仕事の比較を示す。500rpm時ではピストン③の摩擦仕事が、また1500rpmにおいてはピストン④の摩擦仕事が低く、コーティングパターンごとに摩擦仕事が低くなる回転数が異なることが確認された。このことから、ピストン摺動速度によって潤滑油供給効率の高いコーティングパターンの形状が存在する可能性があることが示唆された。地球温暖化防止への貢献のため、将来的な実用エンジンへの技術適用に期待したい。
弘瀬ら(2)は、フォトクロミズム法を活用しディーゼルエンジンのポスト噴射による潤滑油の稀釈メカニズム解明に取組んでいる。図2にフォトクロミズムによる可視化ユニットと単気筒エンジンのレイアウトを示す。校正実験データを利用し油膜厚さ(稀釈率)の算出を可能としている。また、図3に示すようなオイルサンプリングを行い、稀釈オイル中の燃料の稀釈率(質量割合)を実測した。図4にフォトクロミズムとオイルサンプリングでの撮影画像幅の違い(0.17mm, 3.9mm)による稀釈率を示す。3.9mm幅よりも0.17mm幅の方が、両測定法における稀釈率はセカンドランドにおいて近い値を示すことが確認できた。
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