TOP > バックナンバー > Vol.13 No.3 > 排気・環境・後処理(その2)
附柴ら(1)は貴金属材料に代わる触媒として、「酸化チタン」の熱励起触媒能に着目し、PMの酸化・分解の可能性を検討した。熱励起された酸化チタン粒子を用いて、PM中の固形炭素微粒子に相当する黒鉛(カーボンブラック)の酸化分解実験を実施。酸化チタンの配合量や粒径の異なる3種類のサンプル(表1)に対し、温度依存性、空気流量、黒鉛量が酸化分解効率に与える影響について検証した。ここでは温度依存性の試験結果を紹介する。図1、2は、空気流量0.25L/min、加熱温度200~550℃でのCO、CO2濃度の測定結果を示しているが、450℃以上の高温域でCO、CO2の濃度が増加していることから、酸化チタンが熱励起により黒鉛を酸化・分解していると言える結果が得られている。
水村ら(2)は排ガス中のPMがEGRクーラの冷却壁面上に堆積することにより、冷却性能の低下が引き起こされる課題に対し、堆積したPM層の剥離特性の解明に向けた調査を行った。特に、固着力をもつデポジットについては炭化水素、酸類の存在下で生成される可能性が高いことから、軽油にフェノール、メタノール、酢酸を混合し、堆積試験を実施。図3は酸の影響を調査した結果を示しており、条件Cは軽油に酢酸が混合されたもので、残存したPM堆積層が最も厚くなり、酸により固着を促進させることを確認した。図4は炭化水素の影響を調査した結果であり、横軸が試験回数、縦軸がPM堆積層厚さを示している。凝縮水が発生するコールドスタートを含め、7回試験を実施した結果、フェノール、メタノールをより多く混合した場合は平均PM堆積層厚さが厚くなった。各成分が冷却壁面上で凝縮し、凝縮水により堆積層の成長が促進されたものと考察している。
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