TOP ＞ バックナンバー ＞ Vol.14 No.1 ＞ 副室
窪山ら(1)は、プレミアムガソリンを燃料とする単気筒エンジンを用いて、改質ガスを想定した混合ガス（N2/CO/H2）の副室噴射（アクティブ噴射）と、吸気アダプタ装着によるスワール吸気、副室とピストン形状の最適化により、λ=2.9までの超希薄燃焼を実現している。図示熱効率については、副室から噴出した高温のジェットがピストン壁面に衝突することによる熱損失により、希薄化による熱効率の向上は限定的であった（図1)。一方で、NOxの生成については、最大0.066 mg/kWh以下まで低減することを実現している（図2）。本研究により、低NOxを実現する副室燃焼システムのコンセプトが実証され、熱損失改善を含む続報が待たれる。
西村ら(2)は急速圧縮膨張装置の燃焼室に副室を設け、水素添加したメタンを燃料として、着火特性の評価を行った。実験により得られた着火遅れ時間τ_1と、Chemkin Proにより求めた着火遅れ時間τ_1calの比を評価指標とし、無次元噴流強度Gでモデル化を試みている。燃料がメタン単体の場合は、当量比が0.7, 0.8の場合いずれにおいてもGの変化量に対するτ_1/τ_1calの変化量は一定であるが（図3）、水素を添加すると添加量によりGに対するτ_1/τ_1calの変化量が変化する傾向が見られている（図4）。水素添加による物理的な特性の変化や化学反応過程に及ぼす影響を含めたモデル化が期待される。
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