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Vol.14 No.3

CNに向けた排気触媒システム
宮川 浩
Hiroshi MIYAGAWA
本誌編集委員
JSAE ER Editorial Committee

 CNに向けた排気触媒システムのセッションでは全7件の発表があり、地球温暖化に直接的に関係する内容として、温暖化係数の高いCH₄の浄化ならびにN2Oの生成抑制に関する2件があった。ここでは、N2Oの生成抑制について紹介する。

講演紹介(1)排気浄化におけるN2O生成抑制

 米山ら(1)は尿素SCRシステムにおけるN2Oの生成抑制について示した。SCRにおけるN2O生成は①SCR上でのNOx浄化に伴う副生、②NO2共存下で生じる硝酸アンモニウムの分解、③ASC上でのNH3酸化に伴う副生であり、これらの反応メカニズムを考慮した触媒反応モデルと尿素添加制御を組み合わせ、実測排ガスデータを入力とすることでWLTC走行時の各エミッション排出傾向を解析した(図1)。触媒サイズ、貴金属量、NH3吸着量目標などに対する感度解析を実施し、例えば、SCR触媒容量増加は、SCR上でのN2O生成は増えるが、NO浄化率が高まりASC上でのN2O生成を抑制し、トータルではNOx, N2Oとも低減できることを示した。その他のパラメータは、N2OとNOxまたはNH3との間のトレードオフとなる。応答局面法により最適化した結果、NH3吸着目標半減、SCR触媒容増、ASC容量減により、NOx排出量を維持しつつ、N2O排出量20%減、NH3排出量25%減を提示した(表1)。

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【参考文献】
(1) 米山 香澄、藤井 謙治、大堀 鉄平、小澤 恒、石川 直也、阿野田 洋:尿素SCRシステムにおけるN2O生成要因の解析とシステム設計指針の提案、自動車技術会2024年春季大会学術講演会講演予稿集、No.20245210