TOP > バックナンバー > Vol.15 No.2 > ガソリンエンジンⅡ
小出ら(1)は、エンジンの暖機過程において、エンジン壁面温度上昇が得られる冷却水低流量領域を「極低流量領域」と定義した(図1)。当該領域の適用効果をシミュレーションにより推定すると共に、実機検証を行っている。冷機状態での極低流量領域に期待される燃費効果は、以下の三つで構成されるという。
石川ら(2)は、ガソリンエンジンの燃料噴射方式の違いや、冷間条件における排気管内でのポスト酸化特性の調査を行った。さらに1Dシミュレーションを用いてポスト酸化の定量的な評価を実施し、モデルの有効性を示している。図3には、各計測ポジションにおける排ガス温度と排ガス成分が示されている。DIとPFI②(点火リタード)は、下流に進むにつれてTHC/COの減少と同程度の温度上昇幅があることから、同程度のポスト酸化が得られていることが分かるという。また、冷間条件においても、ポスト酸化に必要な未燃成分と酸素、および点火リタードなどにより十分な排気温度を確保することで、ポスト酸化を発生できると説明した。図4に触媒ライトオフシミュレーション結果を示す。破線が既存のエンジンモデルで、実線が今回未燃炭化水素の酸化過程を追加した結果である。Case3では、ポスト酸化による発熱が大きく、未燃成分THCの減少が確認されている。モデルの有効性が示されており、触媒ライトオフへの活用に有益であると考えられる。
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