TOP > バックナンバー > Vol.15 No.2 > 充電・給電
早稲田大学の裴(1)らは、「商用車における車載太陽光発電システムの実現可能性に関する研究(第2報)-シミュレーション計算における太陽光発電システムの車載効果の見積り-」と題して講演を行った。
車載の太陽光発電システムを搭載する電気自動車(PV)の可能性について、実際に福島県内を走行するEVコミュニティバスの運行データから、定量的に解析や予測を行っていて示唆に富むものとなっている。その運行ルートは、福島県内における住宅地から中山間地になる立子山ルート(往復24kmを1日3便)と、温泉地連絡バスである飯坂温泉ルート(往復約6kmを1日6便)として、9ヵ月にわたる走行で夏季、冬季を含むデータを取得している。また、効率20%、1.2kWのPVシステムの搭載を仮定したエネルギーバランスについて計算を行っている。
結果を図1に示す。走行距離の少ない飯坂温泉ルートでは、5月にPV発電量が消費電力量の72.0%となる一方で、冬季は発電量が減少することに加え、電費が大きく悪化するため11.8%にとどまる。電費の悪化の主な理由は転がり抵抗増加とエアコン使用(とくに暖房)で、飯坂温泉ルートは立子山ルートと比較して起伏が少なく、平均車速が低いことから走行電費(距離当たりの駆動に使用された電力消費量)はやや良いながら、概ね時間に比例するエアコンによるエネルギー消費が距離当たりにすると大きくなることから、冬季に飯坂温泉ルートの電費が立子山ルートより悪化した。
また、実際の運用にあたってはPVによる充電が行える環境でバッテリが満充電されていると余剰になりロスが発生するため、例えば最初の運行が遅い時間である場合には、プラグイン充電で満充電にせずPVの受け入れ余地を残しておく必要があるとしている。
コメントを書く