TOP > バックナンバー > Vol.15 No.9 > ディーゼル燃焼
平岩ら(1)は、DPF再生に必要なポスト噴射を、主燃焼を予混合燃焼させた後に2段噴射することで、均質雰囲気場での部分酸化抑制と、到達距離の短縮化による潤滑油希釈抑制を狙い、実験とシミュレーションにて検討した。予混合燃焼はパイロット、プレ、メイン噴射を用い、メイン噴射後に2段のポスト噴射を実施した(表1)。既報告である燃料の希釈割合とDOC供給熱量割合(式1)をポスト噴射燃料のみの割合として評価した。その結果、1段目と2段目の間隔が狭ければ2段目の燃焼が活発になり効果が少なく、間隔を広げると2段化の供給熱量割合増加と共に希釈割合が増加する(図1)。このトレードオフを解消するため、ポスト噴射間隔を60°CAに固定し噴射圧力を上げた結果、燃料希釈割合は減るものの燃料噴霧の微粒化による膨張行程での燃焼割合の増加により、DOC供給熱量が減少した。シミュレーションでは、PCCI燃焼でスキッシュエリアの高温場が拡大され、ポスト噴射の1段目が部分酸化した酸化熱による高温場に2段目が噴射されることが、高濃度のCO生成に繋がっている。ポスト噴射の最適化には、DOCへの供給熱量と潤滑油希釈のトレードオフの解消が重要であることが分かった。
黒島ら(2)は、カーボンニュートラル燃料を視野に、すす粒子の酸化反応性を把握する研究を実施している。ディーゼルエンジンのDPF再生運転時に必要なエネルギーは、すす粒子のナノ構造で変化する酸化反応性によることは既知であるが、そのナノ構造に関し、筆者らのグループの既報告では、運転条件や燃料性状が構造の要因となることが明確になっている。本研究では、軽油およびHVO、パラフィン系炭化水素溶剤による混合燃料(以降CN)(表2)にて、着火性および芳香族成分のすす粒子ナノ構造への影響を解明した。試験の結果、着火性に関してセタン価40のみは、着火時期が遅れ熱発生のピーク値が大きくなるが(図2)、セタン価違いで炭素結晶子サイズに大きな差異はみられない。次に、芳香族に関して軽油にCNやHVO、CNやHVOにトルエンを混合した燃料で、燃焼を同等水準に合わせた結果 (図3)、すす粒子の炭素結晶子サイズは、軽油にCNやHVOの混合割合を増加させると小さくなり、CNやHVOにトルエンの混合割合を増加させると大きくなることから(図4)、芳香族成分が要因であると推察できる。HRTEM画像およびフリンジ長さの頻度分布では、軽油は1.3mm以上の頻度分布が高いことからグラファイト化が進行していることも分かった(図5)。
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