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ドライバビリティと使い勝手を向上させたAMTの開発

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既存のオートメイテッドマニュアルトランスミッション(以降、AMT)に対してドライバビリティを大幅に向上させ、AT市場向けにも対応できる機構(パーキング機構、クリープ機能など)を追加することにより、あらゆる市場に対応した低燃費かつ安価な自動変速機となるAMTを開発した。(新開発したAMTを以下AGS“オートギヤシフト”と記す。)
主な特徴は以下である。
・エンジン制御とAGSの変速制御との緻密な協調制御を構築することにより、弱点であるトルク抜けを改善し、ドライバビリティを大幅に向上させた。
・パーキング機構を装備し、かつATと同等のクリープ力を確保することにより、AT同等の使い勝手を実現した。
・ クラッチ/シフト機構からコントローラまで一体とし、FF/FRの区別なく共通のシステムを搭載可能とし、安価なAMT機構を実現した。

保管場所
製作(製造)年 2013
製作者(社) スズキ株式会社
資料の種類 量産品
現状
名称 / 製作
型式名
AF60D/AR60B等
会社名
スズキ株式会社
適用車種
セレリオ、アルト、エブリイ、キャリイ
製作年
2013
実用化年
2013
装置構成シフト及びクラッチ操作を行う電動油圧式アクチュエータを備えたトランスミッション
仕様
変速・作動方式
自動
伝達方式
乾式クラッチ
変速数
前進5段、後進1段
変速比(前進)
1速:3.818
2速:2.277
3速:1.608
4速:1.161
5速:0.783
(アルトRS)
変速比(後進)
3.272
(アルトRS)
操作方式
シフトレバー式
(一部パドルシフト式も有り)
効能
構造・方式・手段・方法等
乾式クラッチを用い、クラッチ及びシフト操作を行う電動油圧式アクチュエータを直接搭載したオードメイティッドマニュアルトランスミッション
機能・作用等
1.ドライバビリティ性能の向上
① クラッチ制御
流量ソレノイドを採用することで、クラッチ解放および係合スピードの制御性を向上させ、幅広い制御性を確保した。
② シフト制御・セレクト制御
リニアソレノイドを対向軸に設置することにより、緻密なシフト位置制御に対応するとともに、あらゆるシフトスピードの要求に応じることのできる制御性を確保した。
③ エンジン、AGS協調制御
AGS変速制御とエンジン制御(エンジン目標回転制御およびトルク制御)との協調をより緻密に行うことにより、スムーズな変速を実現した。
④ 変速フィーリングの向上
素早いシフト操作とクラッチ解放から係合までの車両加速度変化をより緻密に適合することを可能とし、あらゆる運転状況において、車両加速度を定めた目標に合わせてコントロールすることで変速フィーリングを大幅に向上させた。(サブ画像2参照)

2.使い勝手の向上
 下記機構および機能を追加することにより、既存のATユーザーにも違和感のない運転操作ができるようになった。
① パーキング機構の採用
② クリープ機能の採用
エンジン制御とAGS制御の協調を緻密に行い、AT同等のクリープ性能を実現した。
効果
ドライバビリティ性能、使い勝手の向上を図り、AT市場でも違和感なく運転できるだけでなく、MTの良さも取り入れた安価で低燃費を実現する自動変速機AGSを開発することができた。このAGSはインド市場におけるAセグメント車両「セレリオ」に搭載、国内では軽自動車の「キャリイ」、「エブリイ」、「アルト」に安価で低燃費な自動変速機として搭載しており、市場から好評を得ている。
エピソード・話題性第13回機械振興協会会長賞受賞
参考文献自動車技術会 会報VOL.71 9号 「スズキAGSの開発」
     SUZUKI TECHNICAL REVIEW VOL.41(2015)